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5節 株式の譲渡



1.譲渡の自由と定款による制限




(1)自由な譲渡とその制限

 株主にとっては、投資の回収は株式の譲渡によるほかないので、

株式には強い譲渡性が必要となります。一方で、望ましくない株主を

排除するために会社はこの譲渡性に制限を加えることができます。

会社が発行する全部の株式について譲渡を制限したり、一部の

種類の株式だけ譲渡を制限することもできます。




(2)譲渡制限の定め

 株式の譲渡が制限されるのと投資の回収は大変ですから、

譲渡制限を新しく設ける定款変更手続きは厳格です。

具体的には、全部の株式について譲渡を制限する場合は、

株主総会で議決権を行使することができる株主の、頭数で

半数以上、議決権の3分の2以上が賛成する必要があります

(特殊決議)。この要件は定款で加重できますが軽減はできません。

この定款変更に反対の株主は、持株の買取りを会社に請求する

ことができます。また、株式の譲渡が制限されることは登記に

よって公示し、株式のもそのことを記載する必要があります。