1.譲渡の自由と定款による制限
(1)自由な譲渡とその制限
株主にとっては、投資の回収は株式の譲渡によるほかないので、
株式には強い譲渡性が必要となります。一方で、望ましくない株主を
排除するために会社はこの譲渡性に制限を加えることができます。
会社が発行する全部の株式について譲渡を制限したり、一部の
種類の株式だけ譲渡を制限することもできます。
(2)譲渡制限の定め
株式の譲渡が制限されるのと投資の回収は大変ですから、
譲渡制限を新しく設ける定款変更手続きは厳格です。
具体的には、全部の株式について譲渡を制限する場合は、
株主総会で議決権を行使することができる株主の、頭数で
半数以上、議決権の3分の2以上が賛成する必要があります
(特殊決議)。この要件は定款で加重できますが軽減はできません。
この定款変更に反対の株主は、持株の買取りを会社に請求する
ことができます。また、株式の譲渡が制限されることは登記に
よって公示し、株式のもそのことを記載する必要があります。