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3節 金融商品取引所における株式の売買

1.売買の種類


金融商品取引所における株式の売買の種類は以下のように
区分されます。


◆決済日の違いによる区分


(1)当日決済取引 (2)普通取引 (3)発行日決済取引


◆信用供与の有無による区分


(1)現物取引 (2)信用取引


◆売買立会市場によるか否かの区分


(1)立会内売買 (2)立会外売買




2.決済日の違いによる区分


(1)当日決済取引


 売買成立のその日に受渡し決済をする取引です。


(2)普通取引


 売買成立の日から起算し4営業日目に受渡決済をする取引で、
最も一般的なものです。
 この取引には現物取引と信用取引があります。


(3)発行日決済取引


 発行日決済取引とは、内国株券の発行者(企業)が株主割当により
新たに発行する株券を対象とした取引です。取引は新株の割当を受
けてから新株券の交付までの期間に行い、委託証拠金の差入れが
必要となります。




3.信用供与の有無による区分


(1)現物取引


 売買を行おうとする個人や法人が、自分が保有している株式の売却や
自己資金を使って株式を買う場合を現物取引といいます。


(2)信用取引


 投資家が金融商品取引業者から、購入代金を借りて株式を買うとき、
又は株券を借りて売りつける場合を信用取引といいます。




4.売買立会市場による否かの区分


(1)立会内売買(立会市場による売買)


 立会内売買における取引の方法はオークション方式による売買となります。
 オークション方式による売買とは、投資家の売り・買いの注文を銘柄ごとに
集計し、最も低い値段の売り注文と最も高い値段の買い注文とが合致して
約定するという個別競争売買によって行われる取引です。


(2)立会外売買


 立会外売買とは、立会内売買のように個別競争売買によらず、一般的には
売り手と買い手が合意した価格・数量等によるクロス取引で約定を成立させる
取引のことをいいます。
 立会外売買は、以下のように各取引所の電子取引ネットワークシステムを
介して行われる売買制度です。


・東証:ToSTNet1(単一銘柄取引、バスケット取引)、ToSTNet2(終値取引)


・大証:J-NET ・名証:N-NET


 立会外売買はその取引手法によって、立会外単一銘柄取引、立会外バスケット
取引、終値取引、自己株式取得取引に区分されます。


◆立会外単一銘柄取引


単一銘柄のクロス取引のこと。


◆立会外バスケット取引


15銘柄以上かつ売買代金合計が1億円以上で構成されるポートフォリオをワンセット
で売買する取引。


◆終値取引


終値又はVWAPにより行う取引。


◆自己株式取得取引


大証及び名証に設けられている事前公表型自己株式取得に特定した制度に
おける取引。

2節 取引の種類・売買の形態Ⅱ



2.売買の形態




 株式の売買形態は、大きく以下の5つに区分されます。




(1)株式の売買(自己取引)




 金融商品取引業者が自己の計算(自社の損得)で行う売買

のことを自己取引といい、取引所において執行する売買と

取引所外で行う仕切取引とがあります。




(2)株式の売買の取次ぎ(委託取引)




 顧客からの売買注文を、顧客の計算(顧客の損得)において

金融商品取引業者の名で行う取引です。売買を委託されて執行

することから委託取引といわれます。

 具体的には金融商品取引業者が顧客からの売買注文を取引所

で執行する場合は、多くがこの形態となります。




(3)株式の売買の代理




 顧客からの売買注文を、顧客の名で金融商品取引業者が代理人

であることを明示して執行する取引形態です。具体的には、公開買付

(TOB)時に金融商品取引業者と顧客との間で代理人契約を締結して

金融商品取引業者が公開買付代理人となって行う買付があります。




(4)株式の売買の媒介




 株式の売買に際し、売り手と買い手の間で売買の成約に尽力する

行為です。具体的には金融商品取引業者が顧客の要請により取引

所外で売買の仲立ちを行うことなどがこれに当たります。




(5)取引所金融商品市場における売買の委託の媒介、取次ぎ又は代理




 取引所の取引参加者でない金融商品取引業者が、顧客からその取引

所に上場されている有価証券の売買注文を受託した際に、注文をその

取引所の取引参加者に再委託して売買を執行してもらう場合等がこれに

当たります。