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9節 新株発行・社債

1.新株発行


(1)授権資本制度


 会社を設立するときは、定款に定めた発行可能株式総数の4分の1
以上を発行すれば足ります。残りは必要に応じて、取締役会の決議で
随時発行することができます。また、定款を変更して、発行可能株式
総数の枠を広げることができますが、発行済株式数の4倍までしか増や
せません。なお、全部の株式に譲渡制限をつける会社では、設立時の
発行が4分の1未満でよく、定款変更で4倍超にしてもよいので、一挙に
多額の増資をすることができます。


(2)新株発行の手続き


①増資の方法


◆株主割当


現在の株主に、持株数に比例して新株を割り当てる方法。この方法に
よる発行価額は、時価よりかなり低くすることが多くなっている。


◆公募(時価発行)


株主割当の方法をとらない場合には、会社の財務内容に見合う公正な
額を発行価額にすることが必要。


◆第三者割当


このケースでも原則として公募と同じ考え方をとるが、提携先・取引先・
従業員などに、時価より著しく低い価額で新株を割り当てたいときは、
それに必要な理由を示し、株主総会の特別決議を経なければならない。


②発行決議


 発行条件は取締役会決議で決めます。市場価格のある株式を公正な
価額で発行する場合は、発行決議で払込金額そのものを決めなくても、
決定方法を定めておけばよいこととなっています。


(3)新株予約権


 新株予約権者が新株予約権を行使すると、会社はその者に新株を発行
するか、手持ちの自己株式を移転しなければならないとされています。
 権利行使の際に払払込む金額はあらかじめ決まっているので、株価が
それより高いときに行使すれば利益が得られます。株価が低いときは権利を
行使せずに見送ればよいので、新株予約権を有償で取得した者も、その対価
を超えて損をすることはありません。
 新株予約権は、関係会社の役員・従業員や取引先など、誰に発行してもよく、
有償で発行すれば資金の調達にも使えます。
 新株予約権は公開会社では取締役会の決議で発行します。株主以外の者に
特に有利な条件で発行するには株主総会の特別決議が必要です。
 新株予約権はその行使期間内であれば行使できます。行使に際しては、所定
の金額を銀行など払込取扱機関に払込みます。この行使をした日に株主になり
ます。会社自身は、自己の新株予約権を取得することはできますが、それを
行使することはできません。