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3節 企業分析Ⅲ



3.安全性分析




安全性とは、企業の資金繰りの健全度合いや債務不履行などの形で

倒産に陥る危険性の程度をいいます。




(1)流動性分析(企業の支払能力を示す)




①流動比率




この比率は、流動資産を処分したときに、それにより流動負債を担保し

得るかどうかを見ようとするもので、短期的な債務の返済能力を表します。

つまり、1年以内に返済しなければならない借金に対して、1年以内に現金

化できる資産がどの程度あるかを表しています。




流動比率(%)=流動資産/流動負債×100




②当座比率




流動資産の中に含まれる棚卸資産は生産販売活動を経て初めて資金化

されるもので、ただちに支払手段となるものではありません。そこで当座資産

のみを支払手段として支払能力を見ようとするのがこの比率です。つまり、

流動比率よりもより短期間で現金化できる資産がどのくらいあるかを表して

います。




当座比率(%)=当座資産/流動負債×100




(2)財務健全性分析




資金をどうやって調達したか、資金の使い道が妥当であるか、又は資本が

健全であるかを分析します。




①固定比率




固定資産が、返済の必要のない自己資本でまかなわれているかどうかを

見る指標です。




固定比率(%)=固定資産/自己資本×100




②固定長期適合率




この指標は、固定資産の資本金を自己資本に限定せず、短期的な返済の

必要がない固定負債も含めて検討しようとするものです。日本企業の場合、

銀行からの長期借入や社債発行による長期借入が多いため、健全性の分析

にはこの指標が適しているといわれています。

なお、連結財務諸表においては少数株主持分を考慮します。




固定長期適合率(%)=固定資産/自己資本+少数株主持分+固定負債×100




③負債比率




返済の必要のない自己資本に対して負債の総額がいくらあるのかを示す

指標です。




負債比率(%)=流動負債+固定負債/自己資本×100




④自己資本比率




資本調達の構成を表す比率であって、すべての資本の中で返済の必要のない

自己資本がどの程度あるのかを示す指標です。つまり資本金の中の借金と自己

資本の比率を表しています。




自己資本比率(%)=自己資本/総資本×100